職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いですが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。
業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、一般的にはパワーハラスメントにはあたらないと考えられます。例えば、上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。職場のパワーハラスメント対策は、そのような上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にする取組を行うことによって、適正な指導をサポートするものでなければなりません。
具体的なパワーハラスメント事案が発生した場合に、それがパワーハラスメントであったかどうか判断をするには、行為が行われた状況等詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や裁判事例も参考にしましょう。
典型例を類型化したもので、これ以外にもパワハラにあたる行為が考えられます。
何が業務の適正な範囲を超えているかについては、業種や企業文化の影響を受けるため、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にすることが大事です。