パワーハラスメント

職場のパワーハラスメントとは

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

職場での優位性

パワーハラスメントという言葉は、上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指して使われる場合が多いですが、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるものもあります。「職場内での優位性」には、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの様々な優位性が含まれます。

業務の適正な範囲

業務上の必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、業務上の適正な範囲で行われている場合には、一般的にはパワーハラスメントにはあたらないと考えられます。例えば、上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。職場のパワーハラスメント対策は、そのような上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にする取組を行うことによって、適正な指導をサポートするものでなければなりません。

具体的なパワーハラスメント事案が発生した場合に、それがパワーハラスメントであったかどうか判断をするには、行為が行われた状況等詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や裁判事例も参考にしましょう。

パワハラの6類型

典型例を類型化したもので、これ以外にもパワハラにあたる行為が考えられます。

  1. ①身体的な攻撃
    叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。丸めたポスターで頭を叩かれる。
  2. ②精神的な攻撃
    同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。
  3. ③人間関係からの切り離し
    1人だけ別室に席をうつされる。強制的に自宅待機を命じられる。ある社員のみ意図的に会議や打ち合わせに出席させない。
  4. ④過大な要求
    新入社員に仕事を押しつけて、他の同僚は先に帰ってしまった。
  5. ⑤過小な要求
    運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる。開発職として採用されたのに1度もプロジェクトに参加させてもらえず、雑用業務ばかり命じられる。
  6. ⑥個の侵害
    交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口を言われる。

何が業務の適正な範囲を超えているかについては、業種や企業文化の影響を受けるため、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にすることが大事です。